麻雀ブーム再来なるか ネットでファン拡大

中高年層の娯楽というイメージが強い麻雀に、ブーム再来の兆しが見えている。きっかけはネット。それまでのPC用(ブラウザ)ゲームだけでなく、急速に拡大したスマートフォン市場にも適応し、アプリで楽しむ若年層が増加している。また、タレントやスポー選手だけでなく、最近になって企業の社長や経済評論家といった知識人が楽しんでいることでも話題になった。一方で、リアルに牌を使って楽しむ麻雀店は苦戦続き。ブーム再来のカギは“脱ギャンブル”と“リアルとネットの連動”にありそうだ。

 ◇リアルは減少、ネットは増加

 かつてはサラリーマンの嗜みのひとつとも言われた麻雀。だが、ファンが多かった団塊世代が退職、仕事仲間で卓を囲むシーンが激減した。1人で来店し遊技する「フリー」もあるが、ギャンブルというイメージ、初対面の人と対戦するという難しさから、新規客獲得に苦しみ、閉店するところも多い。

 ところがネットは活況だ。ゲームメーカー関係者によると「具体的な数は明かせないが、ユーザー数は相当なもの。マッチングのスピードがその証拠」と説明する。スマホアプリを立ち上げると、ほんの10秒ほどで4人がそろい、対局が始まる。リアルでは実現できないことだ。また、複雑な点数計算をする手間や、誤った打ち方「チョンボ」をする心配もない。この手軽さ、気軽さが若年層に支持されている。

 ◇インテリ層出現で新たなファン獲得

 麻雀業界にとって想定外だったのが、インテリジェンス層の出現だ。昨年、プロ・アマ参加の国内最大級のリアル麻雀大会「麻雀最強戦」で、サイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏が優勝。愛好家であることを公言したことで、これまで“秘めたる趣味”にしていたファンたちが、次々に「実は私も好きです」と言い始めている。

 また、今年に入り経済評論家の勝間和代氏がプロテストに合格した。目標はあくまでタイトル奪取と、話題づくりではないことを断言している。これまでのギャンブル色から、将棋・囲碁に近しい娯楽との見方も出てきており、新たな層のファン獲得が期待されているところだ。

 この勢いを受けて、フジテレビも麻雀対局番組「THEわれめDEポン」を7年ぶりに地上波で生放送。俳優・萩原聖人が役満を上がるなどして盛り上がった。

 ◇収益はリアル・ネットともに苦戦

 リアルで話題が増え、ネットで間口も広がった。ただ問題は収益だ。リアル店舗は、ゲーム代が基本の収益なので、一定の額は確保できている。ただし4人セットの客が減り、1人参加のフリーの割合が増えている。また、ギャンブル離れの傾向にある中、何の報酬もない「健康マージャン」は、フリーよりもゲーム代が安価に設定されている。脱ギャンブルが進むほど、店舗としては売り上げが下がるジレンマにある。

 ネットが順風満帆かといえば、そうとも言い切れない。麻雀というゲームの特性上、他のゲームのように「課金してプレーヤーやキャラクターを強化」というシステムが組み込めない。課金者が有利になれば、ゲームバランスが崩れてしまうからだ。スマホでは基本プレー無料が当たり前の中、追加プレーやアクセサリなどで課金ポイントを作ってはいるものの「収益性は低い」というのは、各ゲームメーカー共通の認識だ。ユーザーが増えても、運営費だけかさめば、サービスとしてはいずれ成り立たなくなる。

 ◇リアルとネットの連動に注目

 ある程度の収益はあれど減少傾向のリアルと、拡大するものの収益性が低いネット。業界が課題とするのは、この2つの連動だ。オンライン麻雀「ジャンナビ」を展開するウインライト社は16日、東京・新橋にリアルとネットが連動した飲食店「ジャンナビア」をオープンした。店舗内では無料でリアル麻雀ができるほか、対局結果をネットで管理。飲食店としては流行のバル形式で、本格的な料理も楽しめるという新業態が注目されている。

 また、ゲームメーカー各社も、ゲーム内イベントを多数開催し、ネットで予選、リアルで決勝という形式を取り入れるところが増えてきた。シグナルトークが運営する「Maru-Jan」で開催中の全国麻雀選手権は、参加費無料ながら賞金総額1000万円、優勝賞金500万円という業界最高規模の大会だ。

 ◇将来はIOC承認競技入りも

 業界としては、世界の舞台も視野に入れている。中国をはじめアジア圏のイメージが強いが、実は欧米でも人気。さらに、チェスやカードゲームの1種であるコトラクトブリッジのように、IOC(国際オリンピック委員会)承認のマインド(頭脳)スポーツになることも目指している。日本でネットで興味を持ち、リアルで鍛えられ、世界の舞台で活躍する。そんな麻雀プレーヤーが、将来誕生するかもしれない。【K松】